尤度比
(Steven McGee)マクギーの身体診断学 原著第2版 pp.5-13を拾い読みした。
尤度比(Likelihood Ratio; LR)は、有病者の中に所見が存在する確率を、無病者の中に所見が存在する確率で割ったものである。
陽性所見に対応するものが陽性尤度比(LR+)で、陰性所見に対応するものが陰性尤度比(LR-)である。
LR+ = sensitivity / (1 - specificity)
LR- = (1 - sensitivity) / specificity
尤度比は0から∞の間を動く。尤度比が大きい所見ほど有病者でより多くみられる。尤度比が小さい所見ほど無病者でより多くみられる。尤度比が1の所見は有病者でも無病者でも等しい確率でみられる。
尤度比と確率変化の近似値の関係を覚えると、ベッドサイドで簡便に検査後確率を計算できる。
LR | 確率変化の近似値 |
0.1 | -45% |
0.2 | -30% |
0.5 | -15% |
1 | 変化なし |
2 | +15% |
5 | +30% |
10 | +45% |
たとえば、検査前有病確率20%の患者において、陽性尤度比5の検査が陽性所見となったならば、検査後有病確率は20+30=50%になると予想される。
感度が高い検査ほど除外診断に役立つというのは以下のように説明できる。特異度が一定ならば感度が高くなるにつれて陰性尤度比は小さくなる。たとえば陰性尤度比0.1の検査で陰性所見が出たとき、検査後確率は検査前確率より45%も低くなる。